「断食って、本当に体に効果があるの?」
「なんとなく続けているけど、科学的な根拠はあるの?」
こんな疑問を持ちながら断食を続けている方、けっこういるんじゃないでしょうか。
実はここ数年、16時間断食(インターミッテントファスティング=IF)に関する研究が世界中で急速に進んでいます。
そして、その結果はとても明確です。
特に血圧と血糖値の改善については、複数の信頼性の高い研究で効果が確認されています。
この記事では、最新の科学的データをもとに、断食がどのように体に作用するのかをわかりやすく解説します。
①16時間断食で血圧が下がるメカニズム

血圧と聞くと「食事の塩分が問題」と思いがちですが、実はインスリンの過剰分泌も血圧上昇の大きな原因のひとつです。
食事を頻繁にすると血糖が何度も上がり、インスリンが分泌され続けます。
血糖値が上がるたびに、インスリンという配達員が何度も呼び出されるイメージでしょう。
インスリンには腎臓でのナトリウム再吸収を促進する作用があり、これが血圧を上げてしまうのです。
腎臓が塩分を手放さずにため込むと、血液の量が増えて血管にかかる圧力が高くなるんですね。
断食によって食事の回数を減らすと、インスリンの分泌が抑えられ、ナトリウムの排泄が促進されます。
その結果、血圧が自然に低下していきます。
研究データ:血圧改善の数字
2019年に発表されたNew England Journal of Medicine(NEJM)の論文では、
インターミッテントファスティングを継続した被験者で収縮期血圧(上の血圧)が平均6〜8mmHg低下したと報告されています。
この数値は、降圧薬の初期投与に匹敵するレベルです。
僕自身も断食を始めてから3ヶ月後に健康診断を受けたとき、血圧が135/88から120/76まで下がっていて驚きました。
薬は一切飲んでいないのに、です。
塩分だけでなく「食べる回数」にも目を向ける
高血圧対策というと、減塩ばかりに目が向きがちです。
もちろん塩分を控えることは大切ですが、それと同じくらい「何回食べているか」も血圧に関わっていると考えられているでしょう。
間食や夜食でインスリンが出続ける生活は、腎臓に「塩分をため込め」という指示を出し続けているようなものなんです。
食事の回数を減らして空腹の時間をつくることは、減塩とは別の角度から血圧を整えるアプローチになるわけですね。
家庭用の血圧計で朝晩の数値を記録しておくと、変化に気づきやすくなるでしょう。
ただし降圧薬を飲んでいる方は、断食によって血圧が下がりすぎることもあるため、必ず主治医に相談してから始めてください。
②血糖値・インスリン感受性への驚くべき効果
16時間断食の最も注目すべき効果のひとつが、インスリン感受性の向上です。
インスリン感受性とは、インスリンに対する細胞の反応性のこと。
これが低下した状態(インスリン抵抗性)になると、血糖値が下がりにくくなり、2型糖尿病や肥満のリスクが高まります。
断食中は血糖値とインスリン濃度が長時間にわたって低い状態が続きます。
インスリンという配達員が、しっかり休憩をとれている状態だと言えるでしょう。
これにより細胞のインスリン感受性が回復し、少ないインスリン量でも血糖を効率よく処理できるようになります。
主要な研究データ
| 研究機関・雑誌 | 期間 | 主な結果 |
|---|---|---|
| Cell Metabolism誌(2019年) | 5週間のIF | 空腹時血糖が平均11%低下 |
| Obesity誌(2020年) | 12週間のIF | インスリン濃度が29%低下 |
| NEJM(2019年) | 継続的なIF実践 | HbA1c(糖化ヘモグロビン)が0.3〜0.5%改善 |
HbA1cが0.3〜0.5%改善するというのは、糖尿病の管理指標としてみると非常に大きな数値です。
薬ではなく食事のタイミングを変えるだけでこの効果が得られることは、医学的に非常に注目されています。
空腹中も血糖値はゼロにはならない
16時間何も食べなかったら、血糖値がどんどん下がってしまうのではと心配になるかもしれません。
しかし健康な人の体には、血糖値を一定の範囲に保つ仕組みが備わっています。
食事から時間がたつと、肝臓にためておいた「グリコーゲン」という糖のたくわえを少しずつ取り崩して、血液に糖を送り出すんです。
グリコーゲンは、肝臓という倉庫に保管された「非常食」のようなものでしょう。
さらに空腹の時間が長くなると、体は脂肪を分解してエネルギーとして使い始めます。
体内時計と食事のタイミング
人の体には、約24時間のリズムを刻む「体内時計」があります。
インスリンの効きやすさにも1日のリズムがあり、一般的に朝から日中にかけては効きやすく、夜になるほど効きにくくなると言われているんです。
そのため同じものを食べても、夜遅い時間に食べると血糖値が上がりやすい傾向があるでしょう。
16時間断食で夜遅い食事を減らすことは、体内時計に合わせた食べ方にもつながるでしょう。
食事の時間帯を早めた研究
2018年に医学誌Cell Metabolismに発表された研究では、
糖尿病予備軍の男性を対象に、食事の時間を朝から午後の早い時間までの6時間にまとめる方法が試されました。
その結果、食事の量を同じにして体重がほとんど変わらなくても、インスリン感受性や血圧が改善したと報告されています。
体重が減らなくても変化が見られたことから、食べる量だけでなく「食べる時間帯」が体に影響する可能性が注目されたんですね。
ただしこの研究は参加者が8人と少なく、期間も短いため、すべての人に当てはまるとは言い切れません。
8時間の食事時間で血糖コントロールが改善した報告
欧州糖尿病学会では、2型糖尿病のリスクがある成人が1日の食事時間を8時間に限ったところ、血糖コントロールが改善したという研究も発表されています。
16時間断食は、まさにこの「1日8時間の食事時間」にあたる方法です。
こうした研究から、食事の時間を短くまとめることが、血糖値の管理を助ける一つの方法になりうると考えられているでしょう。
③炎症マーカーへの影響:慢性炎症を抑える断食

血圧や血糖値の改善に加え、断食は慢性炎症の抑制にも大きな効果をもたらします。
慢性炎症は「サイレントキラー」とも呼ばれ、動脈硬化・がん・認知症など多くの生活習慣病の根本原因と考えられています。
体の中で小さなボヤが、気づかないうちにずっとくすぶり続けているような状態でしょう。
断食中に活性化されるオートファジー(細胞の自己浄化作用)は、炎症性サイトカインの産生を抑え、体内の炎症を根本から鎮める働きをします。
CRP(炎症指標)の変化
Journal of Translational Medicine(2020年)の研究では、
8週間のIFプログラムを実施した参加者のCRP(C反応性タンパク)が平均28%低下したと報告されています。
CRPは心臓病や動脈硬化のリスク指標として広く使われており、この数値の改善は心血管リスクの大幅な低下を意味します。
CRPは健康診断の血液検査で調べられることもあるので、気になる方は医師に相談してみてください。
オートファジーは細胞の「お掃除係」
オートファジーとは、細胞の中の古くなった部品やゴミを分解して、新しい材料として再利用する仕組みのことです。
部屋にたまったゴミを片づけて、使える物はリサイクルするお掃除係のような働きだと考えてください。
食べ物が入ってこない空腹の時間には、このお掃除係が働きやすくなると言われています。
ゴミがたまったままの細胞は炎症の火種になりやすいため、定期的にお掃除の時間をつくることが大切なんですね。
炎症を意識した食事もあわせて
断食の効果を高めるには、食べる時間に何を選ぶかも重要です。
- 青魚やオリーブオイル、野菜、海藻、きのこ類などは、炎症をおさえる方向に働く食品として知られています。
- 反対に、揚げ物や加工食品、砂糖の多いお菓子は炎症を高めやすいので、食べる時間の中でも控えめにしたいところでしょう。
断食と食事内容をセットで整えることで、体の中のボヤを小さくしていけるはずです。
16時間断食で血糖値が上がる?考えられる原因
16時間断食を始めてから、「むしろ血糖値が上がった気がする」と感じる方もいます。
ここでは、断食中や断食後に血糖値が上がる原因として考えられるものを紹介しましょう。
- 朝の血糖値が高くなる「暁現象」
- 断食明けのドカ食いによる血糖値スパイク
- ストレスや睡眠不足
- 食事時間の中での食べすぎ
- 空腹時間のカフェインのとりすぎ
- 体の慣れの途中で起きる変化
①朝の血糖値が高くなる「暁現象」
明け方から朝にかけて、体は目覚めの準備として血糖値を上げるホルモンを出します。
このため、何も食べていなくても朝の血糖値がやや高めに出ることがあり、「暁現象(あかつきげんしょう)」と呼ばれています。
断食で朝食を抜いていると、この自然な血糖値の上昇に気づきやすくなるのかもしれません。
②断食明けのドカ食いによる血糖値スパイク
16時間の空腹のあとに、丼ものや麺類、甘いものを一気に食べると、血糖値が急に上がりやすくなります。
この血糖値の急上昇と急降下は「血糖値スパイク」と呼ばれ、血管に負担をかけると考えられているんです。
空腹のあとほど糖の吸収が早く感じられることもあるため、最初の食事の内容がとても大切になるでしょう。
③ストレスや睡眠不足
強いストレスを感じたり、睡眠が足りなかったりすると、血糖値を上げるホルモンが増えやすくなります。
断食を「がまん」と感じてストレスがたまると、それ自体が血糖値に影響することもあるでしょう。
無理に続けるより、自分が楽に続けられる時間帯や長さを選ぶことが大切です。
④食事時間の中での食べすぎ
8時間の食事時間の中で、普段より多く食べてしまうと、血糖値の改善にはつながりにくくなります。
「食べられる時間だから」と、間食や甘い飲み物を何度もとるのは逆効果になりかねません。
食べる時間を短くするだけでなく、その間の食事の中身もセットで見直すことがポイントでしょう。
⑤空腹時間のカフェインのとりすぎ
空腹の時間にブラックコーヒーを何杯も飲むと、人によってはカフェインの刺激で血糖値を上げるホルモンが出やすくなることがあります。
コーヒーは1日数杯までにとどめ、水やノンカフェインのお茶と組み合わせるといいでしょう。
⑥体の慣れの途中で起きる変化
断食を始めたばかりのころは、体が新しい食事リズムに慣れていないため、血糖値の動きが不安定に感じられることもあります。
数値が気になる場合は、1回の測定結果で判断せず、医師に相談しながら経過を見ていくようにしてください。
④断食の効果を最大化する3つのポイント

科学的研究から明らかになった断食効果を最大化するために、実践面で押さえておきたいポイントがあります。
ポイント1:食事内容も同時に整える
断食の効果は、食事内容と組み合わせることでさらに高まります。
特に食事窓内(食べていい時間帯)に食物繊維・タンパク質・健康的な脂質を中心とした食事を心がけると、血糖値の安定と炎症抑制効果がより大きくなります。
ポイント2:継続期間が重要
研究データをみると、効果が出始めるのは概ね4〜8週間の継続後からです。
2週間で「変化がない」と感じてやめてしまうのは、科学的に見ても早すぎます。
体の数値は、ゆっくり時間をかけて変わっていくものだからでしょう。
少なくとも1ヶ月は続けてみることが大切です。
ポイント3:睡眠時間を断食に組み込む
16時間断食のうち7〜8時間を睡眠にあてることで、実質的な空腹我慢時間は8〜9時間に短縮されます。
この方法はもっとも無理なく続けられる方法として研究でも推奨されています。
- ✅ 22時に夕食を終える → 翌日14時まで断食(睡眠含む16時間)
- ✅ 20時に夕食を終える → 翌日12時まで断食(実質的な空腹は朝起きてから4時間)
- ✅ 朝食を食べない → 昼食から夜20時まで8時間の食事窓
食事の時間帯はできれば早めに
先ほど紹介した研究のように、インスリンが効きやすい日中に食事をまとめると、血糖値が上がりにくくなる可能性があります。
- 夕食を早めるパターン:8時〜16時に食事
- 間をとるパターン:10時〜18時に食事
- 朝食を抜くパターン:12時〜20時に食事
仕事や家庭の事情で難しい場合は、続けやすさを優先して、まずは夜遅い食事を避けることから始めてみましょう。
16時間断食の基本は【超簡単に健康になる2つの習慣】インターミッテントファスティングで代謝改善・ダイエットにも効果的で紹介しています。
断食明けの最初のひと口は野菜・汁物から
空腹のあとの最初の食事は、野菜や海藻、きのこ、味噌汁などから食べ始めましょう。
次に肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質をとり、ご飯やパンなどの主食は最後に食べるのがおすすめです。
食物繊維やたんぱく質を先にとることで、糖の吸収がゆるやかになり、血糖値の急な上昇をおさえやすくなると言われています。
よく噛んでゆっくり食べる
空腹のあとはつい早食いになりがちですが、ひと口ごとにしっかり噛んで、20分以上かけて食べることを意識してください。
ゆっくり食べることで満腹のサインが脳に届きやすくなり、食べすぎも防げるでしょう。
食後に軽く体を動かす
食後に10〜15分ほど歩くと、筋肉がブドウ糖を使ってくれるため、血糖値が上がりにくくなると言われています。
食器を片づける、近くまで散歩するなど、ちょっとした動きでも構いません。
空腹の時間は水分をしっかりとる
空腹の時間には、水やお茶、ブラックコーヒーなど、カロリーのない飲み物でこまめに水分をとってください。
砂糖入りの飲み物やジュースは血糖値を上げてしまうため、空腹の時間には避けるようにしましょう。
16時間断食のデメリットと血糖値に関する注意点
16時間断食は取り組みやすい方法ですが、血糖値の面で特に気をつけたい点もあります。
糖尿病の薬を使っている方は必ず医師に相談
インスリン注射や血糖値を下げる飲み薬を使っている方が、自己判断で断食をすると、低血糖を起こすおそれがあります。
低血糖は、冷や汗、手のふるえ、動悸、強い空腹感、意識がぼんやりするなどの症状が出る危険な状態です。
糖尿病で治療中の方は、断食を始める前に必ず主治医に相談し、薬の量やタイミングについて指示を受けてください。
断食を控えたほうがいい人
- 妊娠中・授乳中の方
- 成長期の子ども・10代の方
- 摂食障害の経験がある方
- 持病があり治療中の方
- やせすぎの方、体力が落ちている方
これらに当てはまる方は、自己判断で断食を始めず、まず医師に相談するようにしましょう。
体調の変化に気をつける
断食中にめまいやふらつき、強いだるさ、頭痛などを感じたときは、無理をせずに食事や水分をとってください。
特に断食に慣れないうちは、車の運転や激しい運動を空腹の時間に行うのは避けたほうが安心です。
体調がすぐれない日は、断食を休むことも大切な選択でしょう。
空腹感やイライラが出ることもある
断食を始めたばかりのころは、強い空腹感やイライラ、集中力の低下を感じることがあります。
多くの場合は体が新しいリズムに慣れるにつれて落ち着いていきますが、つらいときは無理をする必要はありません。
いきなり16時間を目指さず、まずは12時間から始めて少しずつ時間をのばしていくと、体への負担を減らしやすくなるでしょう。
食べる時間の栄養不足にも注意
食事の時間が短くなると、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しやすくなることがあります。
特にたんぱく質が足りないと筋肉が減りやすくなり、筋肉が糖を使う力も落ちてしまうかもしれません。
食べる時間には、主食・主菜・副菜をそろえた食事を意識して、必要な栄養をしっかりとってください。
定期的に数値を確認する
血糖値が気になる方は、健康診断や通院の機会に、空腹時血糖やHbA1cの変化を確認していきましょう。
数値の変化を医師と一緒に見ながら進めることで、安心して続けやすくなります。
16時間断食 血糖値についてよくある質問
野菜や汁物から食べ始め、たんぱく質、主食の順にゆっくり食べると、血糖値の急な上昇をおさえやすくなります。
薬の種類によっては低血糖のおそれがあるため、自己判断では行わず、必ず主治医に相談してください。
砂糖やミルクを入れないブラックコーヒーであれば、血糖値への影響は小さいと考えられています。
16時間断食は科学が証明した生活習慣改善法

16時間断食は、流行りのダイエット法ではありません。
世界中の医学誌で効果が証明された、科学的根拠のある生活習慣改善法です。
血圧・血糖値・慢性炎症のいずれも、薬を使わずに断食だけで有意な改善が確認されています。
もちろん、持病がある方や投薬中の方は必ず医師に相談したうえで取り組んでください。
「なんとなく続けている」から「科学的根拠のある習慣」へ。
今日から少し意識が変わると、断食がもっと楽しくなるはずです。
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